こちらに移住してから、震災がきっかけで閉館してしまった温泉が多いと聞く。
残された看板は見かけていたこともあり、解体などで痕跡がなくなってしまう前に一度訪れてみたいと思っていた。
今回は、南相馬市鹿島区にあった『風穴の湯』に行ってみる。
原町⇄相馬を繋ぐ山麓線の県道34号線と、JR鹿島駅に繋がる大芦鹿島線の県道267号線に交わる交差点に残っている、『風穴の湯』という看板。
「山海料理の宿 休憩・お食事・宿泊・宴会 湯宿 風穴の湯 1.5km先」という文字が消えかけそうだ。
ここから真野川沿いに常磐自動車道方向に進んでいくと、
正面には山、周りは田んぼに囲まれているのどかな景色が広がる。
高速の下をくぐると、一気に山林が広がり、うっそうとした木々の陰が多くなり道路も濡れたままである。
川沿いを見ても山にあるようなごろごろとした岩が多くなってくる。
山道のようだが、ぼちぼち対向車も通る。
このまま直進していくと橲原(じさはら)という集落に向かう。
常磐自動車道の下をくぐって間もなく、右手に崩落したような古びた建物が見えてくる。
川沿いに倒れた看板があり、『風穴の湯』という文字があるので、おそらくここだろう。
向かい側には福島交通のバス停『風穴湯』がある。
時刻表を見ると橲原(じさはら)⇄鹿島小学校行きで「平成30年4月1日改訂」とあるのでまだ現役なのかもしれない。
ガードレールの途切れた部分にバリケードフェンスが設置されている。
「子ども110番の家」という古い看板が時代の流れを感じさせる。
震災で崩落したのか原因は分からないが、この途切れたガードレールの反対岸に、道幅の舗装の断面が見えるので、元々ここに橋がかけられて出入り口になっていたのだろう。
ネットに載っている震災前の画像だと、建物の角度的にもここに橋があり出入り口となっていたようだ。
(震災前の画像を参考にしたブログ↓)
川に架けられた橋を渡って温泉に行くというのもなかなか雰囲気がいい。
外から建物を眺めてみると、窓ガラスが割れていたり、室外機が外れて落ちていたりとだいぶ廃屋化が進んでいるようだ。
周りをぐるぐるにはり巡らされた水道配管がなかなか味わい深い。
営業していた頃の写真を探してみると、窓の配置から緑の屋根の建物が浴場だと思われる。
当時の温泉情報を探してみると、泉質:冷鉱泉、泉温:源泉13.5度、PH:7.3。
白濁した湯で、さっぱりした肌触りだそう。
周辺を歩いてみると、土石流危険渓流という看板も近くにある。
鹿島区のハザードマップを見ると、川の向こう岸が土石流の危険がある箇所付近だとわかる。
風穴の湯に当たりそうなエリアも、浸水想定区域の塗り分けがされていた。
手前の川に倒壊した木もあったので、2019年令和元年度東日本台風、19号の被害も大きかったのかもしれない。
きっとまだ営業されていたら、目の前が川になっている山に囲まれた雰囲気のいい秘湯だったろう。
かつて活気のあったであろう秘湯を想像すると惜しい気持ちでいっぱいになる。
できればぜひまた再開して欲しいものだ。
【当時の温泉情報】http://castellablog.blog28.fc2.com/blog-entry-151.html
湯宿 風穴の湯:南相馬市鹿島区小池宮町20
泉質:弱アルカリ性冷鉱泉
効能:神経痛・皮膚病など
営業時間:8:30~17:00らしい
料金:大人500円 小人250円
公式HP:なし
当時の様子が分かる参考サイト記事
- 日々のどうでも良い戯言 http://castellablog.blog28.fc2.com/blog-entry-151.html
- 温泉天国 http://www.ringwander.ne.jp/~tetsusei/sprepo/op30/op30_23.html
浜通りは情報が少ないから、魅力のある温泉が無いと思っていませんか?福島県の中でも相双エリアには、有名な「温泉地」が無く、震災後に閉業してしまった所もあります。しかし、私はこの浜通りに移住してきて約5年、毎週末は浜通りの温泉巡りを楽しんでいます。
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